- 懲戒解雇とは何か、その法的な位置づけについて解説する
- 不正行為が企業に与える影響とは?実例を交えて考察する
- 企業が懲戒解雇を行う際の注意点や手続きについて詳しく説明する
- 不正を未然に防ぐための取り組みや教育の重要性を強調する
不正行為の種類と影響
不正行為のリスクを知らないと、あなたの会社が危険にさらされる!
-
Point 01
業務上横領業務上横領は、従業員が職務を利用して自らの利益のために金銭や物品を不正に取得する行為です。このような行為は、企業の財務状況を直接的に圧迫し、信頼の喪失につながる恐れがあります。 -
Point 02
情報漏洩情報漏洩は、企業秘密や顧客情報が外部に流出することを指します。競争力の低下だけでなく、法的なトラブルや信用失墜を引き起こす可能性があります。特にデジタルデータの管理が不十分な場合、問題は一層深刻です。 -
Point 03
偽造書類の使用偽造書類の使用は、従業員が経歴や資格を偽ることを含みます。このような行為は、雇用契約の根幹を揺るがし、万が一発覚した場合の法的責任を伴います。信頼性を損ない、適任者による業務が出来なくなるリスクも考慮すべきです。

解雇の手続きと注意点
解雇について、労働契約法16条に、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上
相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」
と規定されています。しかし、16条に規定されているように、その不正が解雇まで
該当するものかについて認められるには、かなりハードルが高いと思われます。
実際、社員に不正があった場合、どのように 調査するのか、その間出勤について
どうするのか、解雇事由に該当するのか、普通解雇に留めるのか、又、退職金がある
場合や引継ぎ問題など悩むところが多くあります。
● 調査期間についての出社について
社員に不正行為があった場合、出社については証拠の隠滅や他の社員への
影響を考え自宅待機を命じることがよいと思われます。その間の賃金については
就業規則規定にもよりますが、不正行為の再発や証拠隠蔽の疑いなど合理的な
理由があれば無給とし、そうでなければ6割を支給する規定などがあれば対処
しやすいと思いますので、事前に就業規則の規定を整備しておくとよいでしょう。
● 懲戒処分について
懲戒処分について、どの程度の処分が適当かについては会社の判断や就業規則
の規定、不正の重大性、社会的影響などを考慮して判断していくと思います。
過去に会社で、処分の例があれば、従前の処分例と比較することができます。
例えば、従前と同様な不正行為がありその時の懲戒処分が軽い処分であった
場合、今回発生した不正の懲戒を重くすることは、相当性がなく無効となる
可能性が大きいです。その場合、今後は、厳しい処分を行う旨を他の社員へ
周知徹底していれば、今後同じような事例が起きた場合には、きちんとした
処分を行いやすくなります。
● 解雇処分の場合、懲戒解雇か普通解雇か
懲戒解雇については、実際ハードルが高く争った場合有効となるケース
は難しい場合が多いです。 例えば、悪質な横領や調査過程で嘘をついた
場合、私生活の行為で会社について社会的評価を著しく下げた場合
高い倫理観のある職業についていながら不祥事を起こした場合(飲酒運転で
事故った場合など)や職業に付随した性的な不祥事(鉄道職員の痴漢行為や
教職の生徒との不純行為など)などは懲戒解雇の事由の対象となります。
実際には先ほど申したように、懲戒解雇はハードルが高いので、従業員側
に争う姿勢がありそうな場合、普通解雇や諭旨退職などの処分を検討しておく
ことが現実的な対応ではないかと思います。
● 会社に退職金制度がある場合
退職金について、「永年の勤続の功」「賃金の後払い」などの性格がありますが
その不正行為が「永年の勤続の功」を全て抹消するほどの重大な行為かどうかが
判断基準となります。最近では、懲戒解雇時、全額不支給とい判例が出てきている
という事例もありますが、解雇時、重大な解雇を除いて、その不正行為の程度を
きちんと見極めた上で減額率を考えれは、当事者と争いは起こりずらいと思います。
ただし、「不正行為は絶対に許さない」という会社の姿勢を示すために、懲戒解雇
を選択した以上、多少の法的リスクがあったとしても退職金は全額不支給とすると
いう会社の意向や経営的判断の選択もあります。
● 和解について
不正行為を調査中、他の不正もある可能性が高く調査したい場合や損害賠償、
業務の引継ぎなど、行為者が不正を素直に認めている場合、合意書を締結する
ことも可能です。
内容としては、今後の調査に全面協力、損害を賠償、業務の引継ぎ、
解雇や退職金の減額について争いを起こさなければ、刑事告訴はしな
いという合意書です。
事例から学ぶ不正行為と対応
懲戒処分について、就業規則に記載している通りその要件に該当した場合、調査の結果、該当すれば処分を実行することに
なると思いますが、本来は不正行為をしないように、徹底した予防対策をしておくことが重要であると思います。
懲戒処分に該当した場合、おそらくほとんど、戒告やけん責、減給や降格などで対処されるのではないかと思います。
解雇処分については、処分される内容にもよりますが、実質的に実行するのはほとんど稀ではないでしょうか。
実際、解雇処分を行った場合、当人はもちろん会社にとっても決して対外的にいいことは何もありません。
ただし、犯罪行為については、その行為が社外に広まった場合、会社の名誉を大きく傷つける恐れがあります。
その場合、会社の損失としては計り知れません。会社としては業務外であっても犯罪行為は一切許さないという方針を明確
にし、もしも違反した場合は厳正に対処することを社員に周知し、それにもかかわらず違反した場合は、多少法的リスクが
あっても、今後の再発を防止する観点から、一律に厳しく対処することも会社にとっては妥当な判断であるとも考えられます。
処分の対象となる不正行為の対処と予防について
● 横領等
横領については比較的、懲戒解雇が有効と認められやいと言われています。
調査については、意図的なものなのか単なるミスなのか悪質性について見極めることが重要となります。
調査過程において虚偽を述べた場合は特に悪質が高いと判断しますので、録音は忘れないようにして下さい。
● 社内規定違反
社内ルール違反が繰り返される場合、重い処分を行うことを徹底周知させておくことが重要となります。
就業規則への記載に加え、過去の繰り返されている違反事例と懲戒処分について、社員に個別周知を徹底しておけば
違反内容によりますが、解雇とまでいかなくても懲戒処分は有効となる可能性が高くなります。当然、懲戒処分が目的
ではなく、ルール違反の撲滅が目的であることを忘れてはいけません。
● 機密漏洩・窃盗について
会社内の社外秘の項目について、持ち出せないようにすることが重要であり、メールで外部に送信したり、外部記憶媒体
にコピーできないようなシステムを構築しておくことが重要です。調査の際は本人のPCやメールのやり取りの調査をする場合
が多いと思われますので、機密漏洩が疑われる場合、各社員のPCの使用履歴や送受信したメールの内容の確認などを滞りなく
可能とする就業規則の整備をきちんとしておくことが重要です。機器の調査の際は、上級管理職の責任のもと従業員代表者と
外部委託業者立ち合いで実施することが望ましいです。
窃盗について確認すべきことは、きちんと保管されていたのか、会社の所有物かなど事実関係を確認し、当事者については
計画的か出来心か、その窃盗について反省の態度はあるのか、又、窃盗された物の価値などを考え悪質性の有無等、
総合的に判断し確認していきます。
● 暴行や暴言について
暴言については証拠が無い場合が多く、それによる懲戒処分を実施するには周りの目撃者も含めて事実確認をしていくこと
になります。そのような社員が居て暴言等を繰り返す場合、録音をしておくことも証拠の一つとなる可能性があります。
この場合、明らかに就業環境を悪化しているので懲戒の対象となります。暴行については、けんかなどは当然よろしくは
ありませんが、それより無抵抗な相手を一方的に攻撃したような事案については非常に悪質であり、調査についてもその点
を中心に調査を実施していくことになると思います。
● 私生活上の非行行為について
私生活の行動であっても、会社に重大な悪影響を及ぼした場合、懲戒処分の対象となります。
上司や部下の関係や発注者と受注者など、業務上強い立場の者がその立場を利用した性犯罪や会社内のイベント等で
アルバイトに来た異性に対して執拗に迫ったりする行為など、業務を利用した企業秩序や会社の信用を貶める行為は当然
懲戒の対象となります。ネットやSNSで、社内の不祥事が社外へ広まる傾向が高くなっていますので、そのような事を聞いた
場合早期に調査をし結果を踏まえ、厳正な処分を実行しなければなりません。
次に、懲戒解雇を行う際の手続きについても十分な知識が必要です。懲戒解雇は厳しい手続きが伴い、適切な理由や証拠が求められます。不正行為の疑いがある場合には、それを立証するための詳細な調査が必要となります。企業が誤った手続きで懲戒解雇を進めると、逆に訴訟を起こされる原因となります。こうしたリスクを避けるためには、企業が自己防衛をするための知識や手順を確立しておくことが重要です。
さらに、過去の事例を振り返ることも有効です。実際に不正行為が発覚した企業がどのように対応したのか、その過程から何を学べるのかを理解することで、同様の問題が発生した場合の備えになります。具体的な事例を参考にして、企業内での対策やルールの見直しを行うことが肝要です。
懲戒解雇や不正行為について悩みを抱える企業にとって、専門家である社労士への相談は大変有効な手段です。彼らは法律の専門知識を持ち、企業特有の状況に応じたアドバイスを提供します。社労士と連携することで、法的トラブルを未然に防ぐことができ、リスクマネジメントが強化されるとともに、企業運営における安心感が得られます。まずは相談のステップを踏み、専門家の力を借りて問題解決に向けて進んでみることをお勧めいたします。従業員が安心して働ける環境を整えるために、適切なマネジメントが求められます。