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3. 労働法を的確に理解する

スポットワーカーの労務管理について

 ここ数年の働き方の変化から、空き時間を利用して仕事を行うスポットワークの

働き方が増えてきています。

では、単発の働き方でのスポットワークについて「日々雇用される者」1日の雇用期間

で雇い入れられ、その日限りでその労働契約が終了する労働者であることを前提とし

どのような法令が適用されるかを確認していきます。


基本的な法令として、労働基準法、労働契約法、男女雇用期間均等法、最低賃金法

は当然適用されます。


(1)労働基準法 労働契約法

 上記の法令は「日々雇用される者」を除外していません。例えば、労基法15条

労働条件の明示義務はスポットワーカーにも適用されます。

個別の規定においては、日々雇用される者について取扱いを異にするものもあり、

労基法20条の解雇予告は適用されませんが、1か月を超えて引き続き使用されるに

至った場合には例外として解雇予告が必要になります。

また、平均賃金について、日々雇用される者については労働時間にむらがあるため

一般常用労働者の平均賃金の計算と取扱いが異なりますので注意が必要です。


平均賃金を算出する例として

 ・解雇予告手当          →  適用無し

   (例外として、1か月を超えて引き続き雇用された場合)

 ・年次有給休暇を取得した日の賃金 →  適用無し

 

 ・休業手当            →  適用あり

 ・災害補償等           →  適用あり

 ・減給制裁の制限         →  適用あり


労働者名簿は日々雇用される者には、作成義務の対象者ではありません。


(2)育児・介護休業法

 長期の休業を想定していないので 上記法令の措置を求めることはできない。


(3)パートタイム・有期雇用労働法

 「短時間労働者」(パートタイマー)についての定義は、1週間の所定労働時間

が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べ短い者

であり、日雇い労働者のように1週間の所定労働時間が算定できないような者は、

この法の対象となりません。

しかし日雇い形式をとっていても、明示又は黙示に同一人を引き続き使用し

少なくとも1週間以上にわたる定型化した就業パターンが確立し、1週間の

所定労働時間が算出できる場合は、法の対象となります。


 「有期雇用労働者」については、事業主と期間の定めのある労働契約を締結

している労働者と定義されています。この期間の定めについて、労基法上では

「下限」の規制はありません。

労働契約法上では「使用者は契約期間を必要以上に短くし、その契約期間を

反復し更新することがないよう配慮しなければならない」とはありますが、

労基法上、下限がないので、1日の労働契約も可能となります。

このことから、スポットワーカーも「有期労働契約者」に該当するとして

同じ保護を受けることになります。


よって、下記(例)の保護が必要になります。

・雇い入れ時の労働条件の明示

・雇い入れ時の雇用管理の改善措置の内容の説明

・求めがあった場合、通常の労働者との待遇の相違の内容や理由の説明

・相談体制の整備

・賃金や教育訓練は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ職務の内容、

 職務の成果、意欲、能力、経験などを勘案して決定するよう努める

・差別的取り扱いの禁止

・福利厚生施設の利用の機会の付与

・職務の内容が通常の労働者と同じ場合、必要な能力を付与する教育訓練の

 実施


(4)労働保険・社会保険

  労災保険は、全ての労働者に適用されます。

雇用保険法は、「日雇労働者」を日々雇用される者、あるいは30日以内

の期間を定めて雇用される者とし、かつ法定の要件を満たした場合に

日雇労働日保険者として扱っています。

 厚生年金保険は、日々雇い入れられる者、または2か月以内の期間を

定めて雇用される者であって、定めた期間を超えて使用されることが

見込まれない者は適用除外となります。

 健康保険法は、臨時に使用される者であって日々雇い入れられる者、

または2か月以内の期間を定めて使用される者であって、定めた期間

を超えて使用されることが見込まれない者は、日雇特例被保険者となる

場合を除き、被保険者にはなりません。




 労働条件の明示や賃金についての規定については当然対応すべきだと思い

ますが、実際、スポットワーカーについては、大抵1日の労働で終了

するパターンが多いと思われますので、上記に記載した

社会保険やパートタイム有期雇用労働法などでの対応はほとんど

することはないと思います。ただし担当者の方達は、

トラブル防止の観点から、基本的な労務管理については念頭に入れて

おいたほうがよいと思います。

スポットワーカをめぐるトラブル対応


 スポットワークについて大抵1日で労働が終了するパターンが多いと思われますし、正社員の方や現場のパートの方など

と異なり、未経験者でもできる定型的な業務に就くことが多いと思います。よって、トラブルが起きることは稀であると思いますが、全く起きないとも当然言いきれません。


以下、トラブルになりそうな例を記載していきます。


(1) 突然事業主側からキャンセルの場合

 就業する日に会社から、当日の業務がキャンセルとなった時、労働者はその日得られるはずの賃金を得られなくなります。

労基法26条にて、使用者の帰責事由がある休業の場合、休業期間中の平均賃金の6割以上の手当を支払う義務があります。

このような場合、使用者の過失による就労不能の場合は休業手当を支払わなければなりません。


(2)賃金の支払い

 スポットワーカーの賃金の支払いについては、即日に支払うケースが多いと思いますが、即日でない場合で賃金の支払いが

ないまたは遅いという場合もトラブルになる可能性があります。

賃金については、労基法24条の2に賃金は毎月1回以上一定の期日を定めて支払う旨が定められています。

スポットワーカーについて、一律に一定の曜日を支払日とすると、就労日の翌日から起算して数日もしくは数十日以上空くこと

も想定され、経済生活安定に反することになります。法的には問題ありませんが、就労日もしくは就労日の翌日の営業日まで

に支払うのが望ましいと思われます。また銀行口座への振込みや資金移動業者への口座への支払い(デジタル払い)の場合は

労働者の同意を取得しなければなりませんし、振込手数料を差し引いて振り込む場合は、賃金の全額払いの原則に反します。

振込手数料は会社負担となりますので注意が必要です。


(3) 労働災害 教育訓練 

 労働災害については、たとえ1日限りの労働者についても当然適用されます。安全配慮義務について会社はその責任が

あります。

 教育訓練にていては、スポットワーカーに対してその労力を割くのは企業にとっては負担となりますが、職務の内容が

通常の労働者と同じ場合は、職務の遂行ぬ必要な能力を付与する教育訓練を通常の労働者と同様に実施しなければなりま

せん。


 スポットワーカーを使用することで、必要な労働力が確保され、労働力不足を補えるメリットがあります。

しかし、1日でも雇う以上必要な労務管理が必要になり、それに付随したトラブルも起きる可能性があります。

まず、ルールを明確にし、就業規則の整備をすることになると思います。

 会社に就業規則がある場合、又は、有期契約労働者用の就業規則がある場合、スポットワークについての規定を新しく

記載しておく必要があります。スポットワーカーが「有期契約労働者」であることから、現状の有期契約労働者用の就業規則

があるならスポットワーカーの特殊性についての部分を修正するか、もしくは

スポットワークの労働者と会社の有期契約労働者を、区別して記載することでもいいと思います。


4. 人材育成を通じたトラブル防止
5. お問い合わせとサポートのご案内

労務トラブルを未然に防ぐためには、専門家のサポートが不可欠です。ここでは、当事務所が提供する具体的なサービス内容を紹介し、労務トラブルを回避するためのアプローチ方法を説明いたします。

私たちの事務所では、オンライン相談を含む多様な相談窓口を設けており、クライアントのニーズに応じた柔軟なサービスを提供しています。初めての企業様や業務委託を行う事業者様にとって、不明点や不安なことが多い労務管理ですが、専門の社労士がしっかりとサポートすることで、これらの不安を解消し、安心して業務を進めることができます。

具体的なサービス内容としては、まず労働契約書や就業規則の作成を通じて、法令遵守を確保します。これにより、トラブルが起こる前に予防線を張ることができ、安心できる労働環境を構築することが可能です。また、給与計算や社会保険の手続きなど、日常の労務管理に関する業務についてもサービスを提供しており、煩雑な業務をお任せいただければ、経営者様は自社の業務に専念していただけます。

さらに、相談者様には定期的なヒアリングを行い、必要に応じて就業規則の見直しや人事制度の改善提案を実施します。これにより、事業が成長する過程での労務トラブルを防ぐための体制を築くことが可能です。特に、人材育成においても一定のサポートを行い、社内教育を通じて労務トラブルの把握や対応方法を従業員間で共有することが大切です。

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